1.呉市剣道連盟の沿革
呉市剣道連盟の歩みにつきましては、戦前、戦後に分けて記載する方が良いかと思われます。それは敗戦に依りアメリカ他連合軍下、GHQの指示により、昭和20年から昭和27年の剣道解禁に至る7年間の空白を経て、スポーツ剣道としての遍歴を見るに至るからであります。
戦前の呉においては、明治新政府により、明治22年7月1日呉鎮守府が設立されたのを期に呉海軍工廠、同刑務所、呉憲兵隊の心身鍛錬として柔剣道は不類の盛況を見たのであります。その証しとして
1.有信館道場 福島小一(範士)
2.考古館道場 堀 正平(範士)
3.講武館道場 清藤 繁 先生
4.呉錬武会道場 岡本忠信 先生
山下武夫 先生(範士)
の4道場があり、それぞれ多数の門下生を指導されていました。
有信館道場は福島小一範士が大正13年に設立され剣道、居合道が盛んでした。
考古館道場は堀 正平範士が昭和2年呉海軍鎮守府の招請で呉海兵団と江田島海軍兵学校の師範となり設立されました。堀先生は昭和4年と15年に天覧試合に指定選士として出場しておられます。
又、あまりにも有名なのは、京都北部の一乗寺下り松に吉岡一族と宮本武蔵との決闘の碑を、先生と奥方の強い志により完成させ、今日でも京都の名所の一つとなっております。(昭和33年75歳永眠)
終戦後昭和28年広島県剣道連盟発足前は、剣道という名称を避けて異体同心のしない競技が考案され、昭和25年3月、全日本競技連盟が設立され、スポーツとして学校教材に適当と文部省も認め全国津図浦々の高等学校以上の学校に普及、昭和25年の国体に初参加し公開演武が行われた。上記に伴い、広島県においても同様に設立され、呉地区では、昭和28年呉地区高等学校体育大会において、竹刀競技として田中友喜(宮原)、花田惟忠(広)両先生の尽力により開催されました。
同年競技として昭和28年、第8回国民体育大会に田中友喜先生が出場されております。
呉市剣道連盟は、広島県剣道連盟発足に伴い傘下支部として名称を広島県剣道連盟呉支部として同年に32名の登録者数にて長島寅一会長の元、加盟したのであります。
広島県剣道連盟ならびに呉支部発足に多大に尽力したのは竹原省吾先生(範士八段)であり、理事長、支部長の職を務められ、現在の呉市剣道連盟の基盤を確固たる組織に発展させたお一人であります。
その後、平成に入り、呉市剣道連盟は泊 一誠、平成12年に横山登会長を迎え、更なる隆盛を堅持し、継続されているのであります。
昭和29年には呉練誠館による第1回柔剣道大会がはじまりました。
この大会は戦後県下でも1,2を争う歴史と由緒ある柔剣道大会として今日も継続され、平成26年度で第60回を迎えております。
昭和30年第10回国民体育大会で剣道競技が神奈川県藤沢市で開催され、先鋒:内田譲二、次鋒:野間和俊、中堅:真鍋 宏、副将:竹原省吾の5名中、4名が呉市よりの出場選手として活躍されました。同年11月6日第2回呉市民体育祭で剣道競技が初めて開催されております。
昭和31年5月広島県中央大会(支部対抗)が7名編成で呉練誠館にて開催運営されました。同年11月国民体育大会に内田哲郎、真鍋 宏(NBC)両選手が出場しております。
昭和33年呉市剣道連盟が呉市体育協会に長島寅一会長の名で加盟申請され登録されました。
昭和35年3月第1回呉地区職域親睦剣道大会が練誠館で開催され、昭和59年、呉地区朝日剣道大会に名称変更され、継続されましたが平成初期に廃止となりました。
昭和48年には呉少年剣道連合会が中川美雄(当時病院長)を会長、及び広田紀信理事長として設立され現在も継続して大会等開催されております又、同年には広剣誠会第1回剣道大会が始まり、呉市の少年剣道発展に大きな役割をになっております。
呉市剣道連盟の行事としては、昭和58年第1回竹原杯呉地区剣道段別選手権大会を開催
昭和59年第1回泊杯呉地区少年剣道練成大会を開催し、現在も竹原省吾、泊一誠先生の遺徳を偲び継続して開催しております。
昭和59年より全国家庭婦人剣道大会が開催され、当時の桧川 泉理事長の指導のもと呉市の家庭婦人が広島県代表として多数出場しております。
2.現況
近年の県民大会においては、呉市のチームとして平成17年第30回大会から、平成20年第33回大会迄4連覇の偉業を達成しており、男女共常に上位入賞を果しております。
高校剣道においては、宮原高校、呉港高校及び広高等学校に続き、平成24年には呉商業高等学校がまけじと出場を決め、平成26年には広高女子が出場を決めております。
少年の部においては、全日本少年剣道錬成大会県予選会を優勝した仁方剣友会、阿賀剣光会など、全国大会への出場を決めております。平成19年第32回全国中学校剣道大会においては阿賀中学校がベスト8入賞の見事な成績を残しています。
TSS杯県下少年練誠剣道大会等も、呉悠心会、仁方剣友会、阿賀剣光会、尚剣会等、最優秀賞、優秀賞、敢闘賞に浴しています。
実業団においては、IHI(NBC,呉造船)剣道部、日新製鋼剣道部が広島県実業団、個人戦、団体戦で優秀な成績を修めています、特にH20年全日本実業団剣道大会で日新製鋼剣道部がベスト16に入る等の活躍は呉市剣道連盟にとって名誉であり、大きな喜びであります。
呉市剣道連盟は名称は時代と伴に変わりはするものの異名同心、会員数は学生185名、一般203名、合計388名と県内でも5本の指に入る盛況である事も、先達の幾多の諸先輩に対して感謝の念を忘れる事なく、今後も剣道の為、剣道を愛する人の為に会員一丸と成って精進致すものであります。
参考文献:広島県スポーツ年鑑
:(財)広島県剣道連盟50年史
:広島県実業団剣道連盟50年史
文責:副会長兼理事長 福岡正行